PR
スポンサーリンク

専門家が教えるヒグマ対策・正しく知れば怖くない(生態編)

コラム
スポンサーリンク

皆さん、こんにちは。北国の案内人です。

▶「専門家が教えるヒグマ対策 正しく知れば怖くない(対策編)」はこちら

昨年は利尻島で、106年振りにヒグマが目撃されたり、島牧村で頻繁にヒグマが人里に降りてきたり、今月に入ってからは78年振りに野幌森林公園でヒグマが目撃される等、年々、ヒグマは我々の生活圏に近づいてきており、ヒグマ遭遇のリスクは高まりつつあります。
藻岩山の登山口には熊鈴が設置され、南区では自転車がヒグマに追いかけられたりもしました。
今や日頃から野山に入る人だけではなく、野山を訪れない一般の人たちですら、ヒグマの知識は必要に迫られています。

そのような中で、北海道道央地区勤労者山岳連盟が主催するヒグマ勉強会に参加し、専門家の方から正しい知識を教えていただきました。
数回に分けて、皆さんにご紹介していきたいと思います。

是非、山菜取りや登山の際に、参考にしていただければ幸いです。

スポンサーリンク

ヒグマについて

———————–
・ヒグマは日本で最も大きい陸上生物
・成獣の体重 オス:200~400㎏ メス:100~150㎏
・生まれてくるとき:約400g
———————–

ヒグマはメスよりも、オスのほうが大きい生き物です。
成獣のオスの中には、400㎏を超える怪物もいます…。

本州ではツキノワグマを素手で撃退したなんて話を聞きますが、このサイズのヒグマに遭遇した日には、圧倒的な戦闘力の差に絶望してしまいますね…。

こんな巨体を維持するために、ヒグマは何を食べて生きているのでしょうか?

ヒグマの食事

————————-
・春:フキノトウ、草本類(スゲの仲間)、前年のミズナラ

・夏:フキ、蟻、二ホンザリガニ

 

・秋:コクワ、山ブドウ、ドングリ、鬼クルミなど

※容易に手に入る場合のみ、エゾシカ、鮭などを採取

————————-

 

ヒグマは肉や魚ばかりを食べているイメージですが、基本的にはベジタリアンです。
普段は植物や木の実、蟻などを食べて生活しています。
秋口に河口に集まる鮭や、弱ったエゾシカと遭遇した場合など、容易に手に入る場合を除いて、積極的に動物を襲って食べることはありません。
人間の方がはるかに肉食であると言えるでしょう。

こちらはヒグマの歯の写真です。

肉食動物は獲物を仕留めるために犬歯が発達し尖っています。
草食度物は草をすりつぶせる様に歯が平になっています。

ヒグマの場合は尖った犬歯を持っている一方で、奥歯が平になっています。
肉食から草食に進化途中の状態であると言えます。

また、春先のヒグマはお腹を空かせているから危険だとも言われますが、穴から出てきたばかりのヒグマは、フキノトウや草本類をちょっとづつ食べて、お腹をならしていきます。
人間でさえ風邪でお粥ばかり食べていた後に、いきなり焼き肉をもりもり食べるのはなかなか難しいですよね。
ただでさえ、積極的に動物を襲わないヒグマが、春先に肉を食べるために人間を襲ってくることはまず考えられないでしょう。ただし、ヒグマを刺激してしまったりした場合はヒグマ自身が防衛のため襲うことはあり得ます

ヒグマの一年のくらし

————————-
冬眠明け  (3月~5月)
交尾期   (4月下旬~7月上旬)
過食期   (9月~11月)
冬眠、出産 (12月~2月)
————————-

ヒグマは時期によって体重が大きく変わる生き物です。
秋は冬眠に備えて、たくさんの食べ物を体に取り入れ、ぷくぷくに太っています。
冬眠中は一切食べ物を摂取せず、秋に蓄えた栄養だけで冬を越します。
春を迎えるとヒグマは穴からでてきて、餌を探し始めますが、この頃には栄養を使い切り痩せています。

親子熊の場合は冬眠明けは遅く、ゴールデンウィークの前後の穴から出てきます。
母熊は前年の6月頃に交尾を行い、冬眠中の1~2月に穴の中で子熊を産みます。
子熊は1~2年間ほど母熊と一緒に行動し、その後、独立。最低でも1回は母熊と冬眠することになります。

次はヒグマの行動範囲について見ていきましょう。

ヒグマの活動エリア

————————-
メス:10㎞四方
オス:20㎞四方
————————-
専門家の方が調査したところ、ヒグマはオスの場合ですと20Km四方の範囲を1日で活動しています。

仮に札幌の中心部にヒグマが生活していたら、メスのヒグマで白の範囲、オスのヒグマで赤の範囲を一日のなかで、活動していることになります。この図はあくまでも距離感がわかりやすいように中心部に枠を入れていますが、これくらいの範囲を山の中で動き回っていることになります。

つまり、これはどういうことかというと、ある場所で目撃情報があったからと言って、またすぐヒグマが出るということと直結はしないということ。ずっとその近辺に熊がいるとは限らないということです。

しかしながら、その出没したエリアに熊の興味をそそるものや食べ物が豊富にあった場合はその周囲で何日も活動することもあるでしょう。

そのヒグマがどういった特性があるのか、どういう性格なのかによってもその後の行動は変わっていきます。人間もそれぞれ個性や性格が違うようにヒグマも異なるのです。

このあたりについては、対策編で詳しく述べたいと思います。

※この記事は2019年6月12日(水)に開催された、北海道道央地区勤労者山岳連盟のヒグマ勉強会をもとに執筆しています。

The following two tabs change content below.

NorthNavigator

北海道の自然をこよなく愛する一児の父親。 無類の山好きで、夏山は札幌近郊から大雪山系、日高山脈など幅広く登っている。 札幌市内の某山岳会に所属し、沢登り、ロッククライミング、山スキーを修行中。 北海道100名山を網羅した北海道の山ガイドサイトを設立したいと考えている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました